
4月12日(土)から5月6日(火・祝)まで開催した一枚板展。
毎年恒例の大人気企画ですが、今年も初日から早速ご興味をお持ちのお客様が大勢来店され、一枚板の関心の高さを感じました。
このブログでは皆様から注目を集める不動の人気家具「一枚板」の魅力についてお伝えします。
1.一枚板が持つ魅力
老若男女問わず「かっこよくて特別な家具が好み」という方にファンが多い一枚板。
人それぞれに好きな樹種があることも特徴です。
例えば先日来店されたお客様は、秋田杉がお好きでデスク用のものを使用しているとのこと。
杉のはっきりと浮き出るような木目と質感が好きだとおっしゃっていました。
うちのスタッフもモンキーポッドが好きだったり神代杉が好きだったりと、みんなそれぞれに好きな一枚板があります。

↑モンキーポッド

↑神代杉
ちなみにこれを書いているスタッフは栃の木が好きです。(今回の展示でないのが残念なのですが…)
理由は、湖面の波のように輝く波紋が美しいからということと透明感に溢れた白い木肌です。
栃の木の一枚板が経年変化でどんな風に輝きを増すのか、そういうことを考えるとワクワクが止まらなくなります。
さて、では一枚板はなぜこんなにも人を惹きつけるのでしょうか。
先述したように木目の美しさももちろんですが、そのほかにもこんな魅力があるのです。
①長い歳月が育んだ木々たち

木は直径30cmに育つまでおよそ60年かかるといわれています。
一枚板テーブルとして使われるのはおよそ60cm〜100cm前後の幅があります。
ざっくりいっても60cmなら120年近くかかります。人の寿命が及ばない年月ですよね。
また、店頭でご紹介している一枚板の中には国産材も数多くあります。
国内の森は地形にもよりますが、真っ直ぐ育ちにくい根曲になってしまう環境もあり一枚板として使用できるのは希少性が高いといえます。
②唯一無二の存在感

一枚板は長い年月をかけて森が育んだ木々を製材しています。
木の木目や色・形には、木が育った森の土・気候・湿度などさまざまな要因が見える形になって表れます。
ウォルナットなら艶の美しい焦茶色。そこに、色に比べると薄めの木目が木肌を流れる水のように走ります。
ケヤキなら少し赤みがかった茶色。複雑に入り組んだ造形と玉杢が見るもののを心をとらえて離しません。
屋久杉なら渋めの明るい茶色。屋久島の森を循環する水のような流線型の薄い木目と凹凸のある木肌が魅力です。
木によって特徴は違いますがそれぞれに強い個性があり、そのまま存在感の強さへとつながります。
そして、使い手である私たちは一枚板の放つ存在感に思わず吸い寄せられ、触れることでその日その日の疲れ癒し、明日への活力へと変えていきます。
これはぜひ店頭で感じていただきたい!と思っています。
③家族で育てる「テーブル」としての一枚板

一枚板を「無垢材」という素材の側面から見たとき、何十年と長い間使い続けられることに大きな魅力を感じます。
2年近く前ですが、お客様からある相談を受けました。
それは「家に眠っている一枚板を活用できないか」というもの。
その方のお家にははお父様から受け継いだ、幅30cmほどの朴の木の一枚板が四枚ほど保管されていました。それをダイニングテーブルに生まれ変わらせるお手伝いを当店でさせていただきました。
無垢材だからこそ木そのものの温もりや香りをダイレクトに感じることができ、傷が付いても修理が自宅ででき長く使い続けられます。
そして家族みんなで使うことで子どもは「一つのものを使い続ける大切さ」「喜び」を学び、社会に目が向くような年頃になればこのテーブルから「環境の循環」にも気づけるようになることでしょう。
一枚の板を暮らしの道具として使い続けること=家族の時間と子どもの心を育む
こういうことにつながっていきます。
それに気づくきっかけが当店の一枚板展となってもらえたら、私たち販売員にいってこの上ない喜びとなるのです。
2.一枚板の楽しみ方
ここからは一枚板が持つスペック的な面からの楽しみ方をお伝えします。
一枚板でまず目が行くところいえば「色」と「杢目」でしょう。
陶器のように白い木肌。
赤みを帯びた輝く木肌。
艶光する焦茶色。
細い線が真っ直ぐに伸びていたり、斜めに伸びていたり。
先が尖った楕円形、波のように揺らいだ線。
ランダムに入った黒い点々。
木の種類だけでなく同じ種類の中でも違う木肌や杢目は、人間と同じように「木の個性」を感じることができます。
また、不規則に並ぶ自然の造形は草花や生き物の形を連想させ、古来より人々の目を楽しませ祈りの対象にもなってきました。
では実際にどんな杢目があるのかご紹介しましょう。

◉柾目杢(まさめもく)
木といえばこの杢目!というくらい、みなさまが見慣れている杢目ではないでしょうか。
木材を年輪に対して垂直に切ったときに現れる木目の一種で、直線で整っているおり安定感があります。
杢目の美しさから、建築をはじめ仏具や茶道具など伝統装飾によく使われます。
主に杉に美しい柾目杢が見られます。

◉中杢(なかもく)
丸太の中心部近くで見られる杢。中央部に重なるような楕円の山のような形を持ち、希少性が高い杢でもあります。
中杢を持つ一枚板は、板の中央に左右対称の美しいデザインを見せてくれます。
端正な雰囲気を与えてくれ流ので、和室の床柱や欄間などに使われます。
中杢部分の製材時、中杢のある「腹板」を材木として使うため木の外側の「背板」を犠牲にする(背板を捨てて腹板を活かす)様子から、「背に腹は代えられない」の語源の一つとなったという説があります。

◉虎杢(とらもく)
ナラ材によく見られる杢です。
幾重にもなる波のような模様が虎の毛並みのように見えます。
木の繊維が不規則にねじれたりすることで、製材時に美しい縞模様を出します。
希少価値が高く高級家具や工芸品で使用されます。
当店でご紹介しているナラ材のテーブルやダイニングチェア・ブビンガの一枚板には美しい虎杢がありますので、ぜひ店頭でご覧ください。

◉スポルテッド杢
楓やブナなど白い肌の木によく見られる杢です。
木に入り込んだ菌の腐食によって生まれた杢目で、同じものがなく希少性の高さが特徴です。
黒い点々やマーブル模様などもありますが、材木として特に重宝されるのがゾーンラインと呼ばれる黒い線の杢です。
ゾーンラインの入ったものは装飾や工芸品として使用されますがギターの表面にも使われており、幅広い芸術性の高さを感じさせます。

◉玉杢
玉杢もよく見られる杢の一つです。
木の表面に円形が何重にも重なっており、立体感のある美しさを感じさせます。
枝の分岐部分や芽の部分に見られ、木の繊維が局所的に渦を巻くような形になり、その断面に玉杢が見られます。
玉の形が整い密度が濃いものは、銘木として重宝されます。
玉杢が美しく出るケヤキ・山桜・ウォルナット・ブナなど、店頭でもご覧いただけます。
3.一枚板の種類
当店でご紹介している一枚板は神代杉をはじめ屋久杉・ケヤキ・ウォルナット・ブビンガなど日本国内外の木をご覧いただいています。

特に目を引くのが屋久杉。
屋久島の中でも樹齢1000年を超えたものでなければ「屋久杉」とは認められません。
ずっと地上に映えていたとは思えないほど美しい焦茶の色合いと渋さを持ち合わせています。
ゴツゴツとした感触の木肌は、経験を重ね豊かな人生を歩む節くればった老人の手のように、豊かな時間を感じさせます。
当店でお馴染みとなった神代杉・神代木も見逃せません。
およそ2500年の時を地中で過ごした埋もれ木の神代木は、大地の強さを内包したような成熟した渋い色合いをしています。一枚板として市場に出るまでには3〜4年をかけて自然乾燥させ、反りが極力出ないよう工夫されています。
暗闇の中で眠り続け目覚めた木はまさに神様のように神々しく、「神代木」という名に相応しい風格を醸し出しています。

定番のウォルナットもおすすめです。
木の外側の明るめの色をした「辺材」と、内側の焦茶色の「芯材」は対照的な色味をしており、その美しさは類を見ません。
木の強度もしっかりある材なので、美しさと高い実用性を兼ね備えた材として世界三大名木として位置付けられています。

日本の木の王様、ケヤキも忘れてはなりません。
こちらも辺材と芯材のコントラストが美しい木ですが、1番の魅力はこの重量にあるのではないでしょうか。
店頭でご覧いただけるケヤキは主幹から枝分かれしたY字型になっており、主幹と枝の分岐点には木肌の歪みが波状文を作り出しこれがとっても美しいのです!
木という、私たち人間とってはとても固い素材が人の肌のように柔らかに歪むことを目の当たりにすると、新たな世界を目の当たりにし価値観を刷新してくれるような気持ちになります。

サペリの美しい木目も、一生に一度は直でご覧になっていただきたいです。
アフリカを主な生息地とするサペリは、赤みがかった黄金色が何よりもの魅力ではないでしょうか。
店頭でご覧いただけるサペリも縦横に入るリボン杢がこの色味と合わさって、輝く木肌を見せてくれます。
個人的には犬のキャバリアという犬種を想起し、美しい中に可愛らしさを感じてしまいます。
店内では、常時15枚ほどの一枚板をご覧いただけます。
ご紹介した樹種だけではなく日本国内外の様々な樹種がございますので、ぜひ店頭でお楽しみください。
4.一枚板の使い方
さてここまで一枚板の魅力をご紹介してまいりましたが、暮らしの中でどんなふうに一枚板は活きるのでしょうか。
ここからは実際にお家に迎えてくださった方の様子をご紹介いたします。
まずはダイニングテーブルから。

一つ目は、スタイリッシュなご家庭にお届けした秋田杉の一枚板です。
全体的に明るめでありながら辺材と芯材のコントラストが美しい一枚です。
杉特有の若干凹凸のある中杢が遠目から見ても線の美しさを伝えています。
細身のシンプルなスチール脚とYチェアと合わせ、お部屋全体が明るく広い印象となりました。

主な生息地が日本の朴の木。うぐいす色が美しい木です。
和室に設置すると、日本で生まれ育った朴の木がとても似合います。
あえてダイニングテーブルすることでモダンな雰囲気が醸し出され素敵な空間になりました。

焦茶色の輝く床が美しい新築のご家庭に、屋久杉の一枚板をレジン加工したテーブルをお届けしました。
杉本来の明るい木肌と重厚感を添えるレジンの組み合わせがお部屋をワンランクアップして見せてくれます。

2m以上ある大きなサイズの一枚板をリビングに。
黄金に輝く木肌は思わず目を奪われます。
表面に反射する照明の灯りが木の滑らかさを伝えています。
次に座卓です。

ゆったりとした一人用のソファとイージーチェアが並ぶ前のスペースに、栃の木の一枚板をローテーブルとして設置しました。椅子側にあるモコっとした形は瘤杢(こぶもく)で、樹木の表皮が変異しこぶ状になったものを指します。デザイン性が高くインテリアとしてお楽しみいただけます。
ラグサイズの赤い絨毯に縦にのびのびと入った輝く杢目の木肌が映えます。

座卓よりもさらに低めのローテーブルとしても一枚板はおすすめです。
絨毯の上に10〜15cm程度の脚を置いてその上に一枚板を乗せると、そこには素敵な空間が誕生します。
胡座をかいて座るのにぴったりなテーブルになります。
最後にソファーテーブルです。

渋い色合いが美しい神代杉の一枚板です。
下に敷いているのは当店オリジナルの手織り絨毯であるGOSHIMA絨毯。
およそ2000年の時を内側に持った一枚板と天然素材の手織り絨毯は、お互いを引き立ててお部屋をより美しい空間へと昇華させています。

こちらはカーブが美しい栗の一枚板テーブルです。
座卓、ソファテーブルとしてお使いいただける高さに脚を設定しました。
人が集まるリビングに柔らかな印象を与えてくれる丸みを帯びた栗の一枚板。きっと一緒に使う家族の雰囲気も良くしてくれることでしょう。
一枚板の持つ背景・環境・スペック・使用例など、一枚板の魅力についてご紹介した今回のブログ。
一枚板は、家具やインテリアとしてだけでなく、その木が生まれ育った環境や一枚板を製材する職人さんたちを使う人と繋げてくれる暮らしの道具です。
環境に想いを馳せることは自分たちが暮らす環境に目を向けることにつながり、それは未来への暮らしに目を向けることへつながります。
自分たちが10年後・20年後にどんな暮らしをしていたいか、一枚板を通して思い描くことにつながってくれたらと願ってやみません。
店頭ではおよそ常時10枚程度の一枚板が皆様との出会いをお待ちしています。
ぜひ店頭で一枚板の魅力を存分に感じていただけますと幸いです。
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